スィート・パティシエール 〜 3つの甘いお菓子な話 〜

■禁断のドア■   魅惑的な甘さ 〜赤い果実のコンポートとホイップクリームたっぷりのショコラクラシック〜



「最高なんだよ 車の中でやるのが。。。。。」

「やるって何を?」

「まあまあ とぼけちゃって。。。男と女がすることだよ」

 ニヤニヤと舐めるようにスカリーを見るモルダー

「ちゃんと前を見なさいっ! ほかの練習車も走ってるんだからっ。。。」

「男の願望だな 女だってそうされたいって思わない?」

「こんな狭いところでどうしてやりたいなんて思うのよ まったく!」

 モルダーの誘導勝ちだった 思わず答えてしまったスカリーが まずいって思ったが後のまつりだった


「へえ 狭いとできないと思うかい?」

 モルダーをつけあがらせるには充分だった

「分からないわ 経験ないもの。。。。」ポツリと答えたスカリーの言葉に勝ち誇ったように

「経験ないって 車でってこと? それともそれ以前ってこと?」追い打ちをかけるモルダー

「あなたに言う必要は無いわっ!」

 言葉はきつかったが頬がほんのり赤くなったことでモルダーは察しがついたので駄目押しをした

「答えないってことは否定もしないってことですよね  勝手に解釈しますよ」

「すれば?」素っ気なく答えるスカリー

「冷静さは何処にいったのかなぁ 教官どの 運転にはまず動揺しない心ってたしか聞いたような気がするけど。。。」
 流暢にハンドルをきりながらスカリーの横顔を盗み見るモルダー


 その視線に我慢できなくなったスカリーが怒った「 それ以上言ったら叩き出すわよ!」

「叩き出すって…走ってるのに? 問題発言だなぁ。。。」

「そうされたくなかったら黙って走るのね」

 シートに深く腰掛けて腕を組みながらちらっとモルダーを見るスカリー

 あきれかえった様なスカリーのため息に仕方なくモルダーが従う

「はい はい 仰せのとおりに 教官様」

「はい は1回でいいの! とりあえず Okね あと2周でいいわ 合格よ」

「やった〜 」思わずハンドルから手を離してモルダーがガッツポーズをして ヒューッと口笛を吹いた



 最後の1周でおわるはずだったが事態は急に進展をみせた

 おとなしくコースを回っていたはずのモルダーがいきなりスピードを上げコースを外れ蛇行し始めたかと思うと

 そのまま公道に出てしまった

「待って!もう終わりよ! 公道に出るなんてだめよ! あなた免許がないんだからっ!」

 声を荒げるスカリーにお構いなしにモルダーはぐっとアクセルを踏み込んだ

 荒っぽい運転でしがみついてるのがやっとのスカりーだった

 暗くなっておまけに小雨もちらついて来はじめた

 どこに向かっているのかも分からないスカリーだったが

 すこし開いていた窓から不意に潮の香が入り込んできたので海岸沿いに走っていることが分かった


「戻りなさいっ! 警察に通報するわよ!私をどうしようって言うの?」

「どうして欲しい?」

「ふざけないでっ! 車をもどしなさいっ!」

 怒りをあらわにしたスカリーの目の前にモルダーは すっと一枚のカードを差し出した

 目を丸くしたスカがまじまじとそれを食い入るように見た

 それは見覚えのあるカードだった

「なに?これは どういうことなの? あなたちゃんと免許を持ってるじゃないの

 無事故無違反の表彰も受けてるじゃない  どういうこと?

 それもなにこれ。。。大型特殊 自動二輪 トレーラーも? 免許取り消しってのは嘘だったの?

 あなた何者? 私を散々からかって面白かったでしょうねっ!」

 早口で捲くし立てながら 悔しくて涙が出そうになるのを必死でこらえた

「止めて!  止めてーーーっ!!帰るわ ここで降ろして! タクシーで帰るわ」

 スカリーがシートベルトをはずしてしまったので仕方なくスピードダウンをしたモルダーは

 人気のない砂浜に車を止めた

「こんなところにタクシーなんて来やしないよ。。。道から5キロもはなれているんだ 歩く気かい?」

「歩くわ!」

「ここがどんなところか知らないわけじゃないだろう?人なんて滅多に通らないよ しかも夜だぞ」

「どんな所であっても あなたといるよりましよ!知っててつれてきたのはあなたよ 私をどうしようっていうのっ!

 私がバカだったわ あなたはそんな人じゃないって思いこみ 勝手に好きになって。。。」


 スカリーがドアを開けようとしたとき  モルダーがその手を掴んだ



「待ってくれ 騙すつもりじゃなかったんだ

 それより 今の言葉どういうことなんだ? そう言う人じゃないって。どうして僕のことを知ってた?」

「そんなこと どうでもいいわっ!  はなしてよっ!」

 つかまれた腕を振り切って睨みつけたが 憤りを抑えきれなくなったスカリーの頬には涙が流れ落ちていた

 涙を見てモルダーがひるんだ隙にスカリーは思い切りよくドアを開けた



 目の前に広がる漆黒の闇と 思ったより大きな雨に一瞬ためらったスカリーだったが

 考えるより足が先に出ていた

 感情的になって溢れ出した涙の上を雨がなぞる。。。熱くて冷たい涙だった

 すぐに バタンと音がしてモルダーが運転席から出たことが分かった

 砂に足を取られ走りにくい。。。

「勝手に好きになって。。。。」叫んでしまった言葉にびっくりしたのは自分の方だった

 もう彼とはいられない。。。

 彼が嘘をついたとか 騙したとか そんなことはどうでもいいことだった

 自分の方が居たたまれなくなって飛び出したのだ

 ザクッ ザクッ と大股で忍び寄るモルダーの気配に崩れそうになりながらスカリーが走る

 足がもつれて倒れそうになるところを後ろから抱きとめられた

 羽交い絞めにするようにスカリーを抱きとめるモルダー

「話すよ ちゃんと話すから車に戻ってくれ 濡れてしまう お願いだから言うことをきいてくれ!」

 そう言うモルダーも すでにずぶ濡れだった


 はじめから 逃げ切れるなんて思っていた訳じゃない。。

 この大きな腕で抱きとめられたいと思っていた。。。と言うのが正しいかもしれない

 緊張の糸が切れてしまったスカリーの足元はおぼつかなく引きずられるように 車へ戻った

 ドアを開けて押し込むようにスカリーを助手席に乗せ 自分も反対側から乗り込み

 ドアロックを掛けるモルダー

 スカリーの座席と自分の座席を目いっぱい後部にスライドさせ空間を広く作り

 ヒーターの目盛りを最大にしながら モルダーは濡れた上着を脱いで後部座席に放り投げた

 ガタガタと震え始めたスカリーを横目で見ながら シャツも脱ぎ出した

 びっくりしたスカリーが身体を引くと モルダーはそのシャツをスカリーの頭に乗せて髪を拭き始めた 

「。。。。。」

「濡れたままより いいだろ? 今朝着替えて来たばかりだから。。。」言い訳をしながらも

 手の動きを止めず 拭きつづける

    「あなたも。。。濡れているわ。。。。」初めてスカリーが口を開いた

「僕はいいよ 髪も短いしすぐ乾くよ。。。かぜをひいちゃ大変だ。。。寒くないかい?」

「大丈夫よ。。少し 暖まってきたわ。。。」

 自分の取った行動が恥ずかしくてうつむいたまま スカリーが答えた



「こんな状態で言いにくいんだけど 。。。上着は。。。」

 モルダーの言いたいことは分かってる。。

 濡れた上着を脱いでしまって暖をとったほうがいいに決まってる  でも

 ブラウスの下はブラだけなのだ

 ブラウスだってきっと雨のしずくで透けこんで身体に張り付いているに違いない


 あなた 目のやり場に困るんじゃない?

 そんな気のきいたジョークもここでは場違いな気がして言えやしない。。。


 二人とも押し黙り 静かに回転するエンジン音と 最大にしたヒーターがシュウシュウと

 エアダクトから規則正しい音を吐き出しているだけだった

 息をするだけでもぴんと張り詰めた空気が壊れそうな気がしてしまう

 どくどくと打ち続ける心臓の音までもが相手に聞こえそうな静寂が二人を支配していた


 フロントからわずかに差し込むヘッドライトの明りだけが二人の間の緊張をやさしいものに

 していた  これが全くの暗闇ならまた 違った方向に時間は進んだかもしれない

 膝の上で組んでいた指をはずし スカリーは 静かに上着を脱いだ

 はっと 息を呑むモルダーの息使いが聞こえたような気がした


 髪から滴り落ち首筋を通った雨は背中にも流れ込み ブラウスに染み込み。。。

 スカリーの肌に張り付き はっとするようなラインを見せていた

 ちらりと見ただけでモルダーがそっと顔をそむけたので 自分の状態がわかったスカリーは

 静かにそっと目を閉じた

 雨音は 先ほどより激しく車に叩きつけ いっそう二人を閉じ込めようと躍起になっているようだった




 どれくらいの時間が過ぎたのだろう。。。。

 睡魔が襲って来はじめた

 がくんとスカリーの首が前に倒れた

 慌てて モルダーが手を差し伸べて抱きとめる

「あ。。。」うすくまぶたを開けたスカリーがモルダーを見つめた

 スカリーをシートに戻してやり 静かにモルダーが話し始めた



「実は。。。試験官は僕の方だったんだ」

「え?。。。。」唖然としてモルダーを見上げるスカリー  意味がわからない。。。

「僕は本部の調査官なんだ

 はじめから 抜き打ちテストだって言うと君達教官も構えるだろう?

 普段のままの君たちの指導の仕方を見たいと思ってね

 特に君の評判はすごく良かったし  一度見てみたかったんだ 。。。。



「うちのオーナーなの?」すっかり目がさめてしまったスカリーは座りなおした

「オーナーの放蕩息子だな。。。」笑いながら 言うモルダー


「ニューヨークにある教習所の生徒数が今ひとつのびなくてね

 ここの成績がグループでいつもトップなのは何でだろうと調べてみたら君の存在があった

 ここを卒業した生徒は揃いもそろって君の名を口にする 彼女の講義は最高だぜって!!

 口利きで次の受講者がまた増えているらしい。。。。って


 ああ こんなことどうでもいいんだ こんなこと言いたいんじゃないんだ

 君のさっきのせりふの意味を聞きたいんだ。。。ぼくのことをどうして知ってた?」

「。。。。。。」黙るスカリー

「。。。。。。」目を逸らさずにモルダーはスカリーを見た
 
 すでにブラウスも乾いてふんわりとした袖がダクトからの風に揺れていた

 言うまでは離しそうにない視線に 黙っていたスカリーが観念したように重い口を開いた




「偶然よ。。。」

「偶然。。。って?」



 
「見たのよ 一週間前に。。。たまたま。。。」

「何を?」

「あなたの写真を。。。。」

「事務局のローザが見せてくれたの ほらそっくりよって 私の初恋の彼に本当に似てたわ

 本人じゃないかって思うくらい。。。

 だから あなたが43番教室に来るようにしてって頼んだのよ」

「じゃ僕がはじめから来るって知ってたのか?」

「そうよ そうじゃなきゃあんなばかげたことしないわ」

「たしかに すごいとは思ったが前評判を聞く限りでは これもありかなと思ったな

 それにしても すごいアプローチだったな」


「この1週間 ものすごくドキドキしてたわ どうやって声をかけよう。。。。って」

「その結果が あれとはね。。。」

「印象付けたかったの。。。いま考えると バカみたいで恥ずかしいわ こんなに短いスカートを

 穿いたのもはじめてよ。。。いつもはパンツなのに 」

 シートに腰掛けると短いスカートがより短くなって 膝頭や太股までが投げ出されている

 深く入ったスリットから 動くたびにガーターベルトがちらちらと見え隠れしていた

 スカリーはそれを気にしながら 裾を引っ張るようにして座りなおした

 そんなスカリーのしぐさが たまらなく可愛くてもう一度抱きしめたい衝動にかられながらも

 冷静さを装うモルダー

「僕に恋人がいるかも。。とかって 考えなかった?」

「そうよね…考えもつかなかったわ  いきなり 私の運命の人だって 思っちゃったの」

「いつもあれをやってるのかと思ったよ」

「そんなわけ無いでしょ もう心臓バクバクいってたもの」

「奴らの話を聞いてたらやりそうな気がしたんだけどな 気が強くってかっこいい君を想像しながら

 入ってきたんだけど」

「あいつらには甘い顔をすると付け上がるからよ こう見えても本当は気が弱いの」

「へぇ そうは見えないけどね。。。  ヒールで蹴りを入れられたって話は?」

「本当よ いきなりシートを倒してきた奴がいたから思いっきり蹴りを入れたわ」

「勇ましいね そのヒールは武器にもなるんだ」

「こうやって殴ってもいいしね」さっと脱いで手にもってモルダーの目の前に差し出した

 さすがにピンヒールは凶器になりそうだった

「それだけは勘弁してほしいね」

「その初恋の彼氏は今はどうしてるんだ?」

「FBIに勤めてるわ 振られるのが怖くて告白もできないまま離れ離れになってしまったわ」

「今でも愛してる?」

「もう思い出になってしまったわ」



「じゃこれから僕と新しい事実をつくらないかい?」

「。。。。。。?」

「そのつもりだったんだろ?」

「。。。。。」

 そうには違いないけど こうあからさまに言われると気恥ずかしくなって返答に困ってしまうのだ




「じゃあ ひとつ聞いていい?。。。あなた本当に恋人はいないの?」

「いるよ。。。」

「じゃ だめよ 泥沼にはまり込みたくなんかないわ いくら運命の人でも。。。」

「僕は初恋の人に会いに来たんだ」

「じゃ 会いにいけば?」

「恋人がいて がっかりした?」

「ちょっとね  残念だったわ 」肩をすくめてスカリーが言う

「僕がその彼氏に似てるって言うんなら 偶然だね 僕の彼女も君にそっくりなんだ

 見てみるかい?」

 モルダーが胸のポケットから取り出した写真は 教習車の窓からブイサインを出して

 にっこり微笑んでいるスカリーだった

「僕の女神様だよ」と モルダー



「そっくりって  これ。。。私よ。。。どうしてあなたが持ってるの?」驚くスカリー



「信じないかも知れないけど。。。。僕は君のことを良く知ってるよ

 これほど心が動いたのは君が初めてなんだ いわゆる仕事バカなんで恋愛には疎かったんだが。。。

 実績が毎日毎日僕のところに報告される

 そのうちきみのことが気になり始めた

 写真を送ってもらってしばらくはながめつづけていたが

 写真だけじゃ我慢できなくなってどうしても会いたいって思うようになった

 今日の調査も 君に会うための口実なんだ 本当は。。。


 君に会いたかっただけなんだ。。。 」


 照れたようにハンドルで顔を隠すモルダー

 年には似合わないような子犬顔で見つめられると胸の中に何かが流れ込んで来るような気がした


「本部の僕のディスクの上には君が笑ってる写真が置いてあるよ

 毎朝僕はその写真にキスして 勇気を貰ってたんだ」

「……信じられない」

「こういう風にしてね」ためらいがちにそっとスカリーの肩に手を触れるモルダー


 その手に引かれるようにスカリーはモルダーの胸に身体を寄せた


 スカリーが抵抗しないことを触れた指先から感じ取ったモルダーは静かにスカリーの顔を

 両手で包み込んだ  じっと見つめあい 何年も前から愛し合っている恋人同士のように

 やさしい口付けを交わし  ほほえみあった



「やはり本物に限るね ガラス越しだと冷たくてね」笑いながら また唇を重ねるモルダー

「もっと早く来たかったんだけど仕事に追われていてね

 会って気に入ったらつれて帰って来いって親父から言われてるんだ 君さえよければ」


「交通違反者だなんて とても手の込んだ 芝居だったわね。。。。。。」

「おたがいにね 君の方が数倍インパクトがあったと思うけど?」

 苦笑い。。。。

「ひとめ惚れって。。。信じるかい?」

「信じるわ。。。白状すると 写真を見たときにもう捕らわれてしまったもの」

 モルダーがうれしそうにスカリーの髪を撫で額にキスした

 その瞳をじっと見つめながら。。。



「試してみるかい?」

「なにを?」

「狭くてできないって言っただろ?」

 さっきの言葉を思い出して真っ赤になるスカリーの肩をそっと抱くモルダー


「あれは バカにされたような気がしたから 精一杯の強がりだったのよ 忘れて。。。」

 うつむき加減のスカリーの顔をあごに手をあてて静かに唇を重ねる


 いきなり舌が入り込み舌が絡めとられどこで息をしていいのか分からないでいると

 今度はスカートの中に滑るように指が入り込んできた

「待って 待って ねえ 待って。。。。」

「車と一緒だよ急には止まれないないよ。。。」

「発進の準備ができてないわ 。。。。」冗談でごまかそうとした唇が震えていた

「整備は慣れてるよ 」冗談で返すモルダー

「ヒールで蹴りを入れるのだけは勘弁してくれよ」モルダーがゆっくりとシートを倒した

 スカートからブラウスを引き抜くと 小さな叫びがスカリーの口元からこぼれた

「僕にまかせて。。。。」

 すっかり身体を硬くしたスカリーの緊張をほぐそうと再びキスをするモルダー

「力を抜いて。。。車の運転と一緒だよ よそ見しないで。。。。。僕を見て。。。」

 言いながら彼の指の動きは休むことなく スカリーの羞恥を剥ぎ取っていく

 シートに身体を投げ出し 顔を手で覆ったスカリーは指の間から 窓越しに暗闇の向こうを見た

 流れる雨が窓を伝わって小さくて不規則な音を立てていた

 暗くてよかったわ おまけに雨も降ってる。。。


 突然スカリーに触れていたモルダーの指が離れた

「????」次に来る期待と不安で身体を硬くしたスカリーだったが思わぬ展開に

「いやっ!」と大声をあげた

 モルダーがルームライトをつけたのだ

「消して!お願いっ!」

「君を見たいんだ 」

「いや いやよっ!」

 ヘッドライトからのほんのわずかな光が スカリーの羞恥心を守っていたのに

 天井から照らされては身のかくしようがないのだ

 一気に恥ずかしさが襲い始めた

「お願い  お願いよ。。いや。。。」

 懇願するスカリーの腕を掴み 反論を許さないかのようにその口を塞ぐモルダー

 ピンと張った胸の頂が痛いほどに張り詰め 期待を隠すことなく大きく息づいていた

 そっと口付け 舌先で転がすと 思わずのけぞるスカリー

 心とは裏腹に 見られるという恥ずかしさが甘い興奮となって体中を駆け巡りはじめた

 どうしようもないけだるさが足の先から痺れたように這い上がってくる

 体中の緊張がほぐれたのを感じたモルダーは すばやくスカートを剥ぎ取った

 なまめかしいガーターベルトが目の前に晒されて思わず生唾を飲み込むモルダー

 朝方明るい教室で見たときとは又ちがうセクシーな肢体に興奮を禁じえない

 もう待てないと 性急にショーツに手をかけ奪い去ると

 身にまとうものが何も無くなったスカリーは身体をよじり抵抗を試みるが

 それより早くモルダーは両足の間にひざを滑り込ませ 閉じようとする力をねじ伏せ

 彼女の狭さを確かめるように指をそっと入れた

「あっ!」突然の指の進入にスカリーが跳ねた

 跳ねた足をそのまま 肩に掛けるとスカリーの顔がゆがみはじめた

 しなやかな胸が大きく上下し事態の大きさをどう受け止めていいのか困惑を隠せないスカリーがそこにいた

「ごめんなさい。。。」スカリーが小さな声で言った

「なにが?」

「強がりを言ったけど。。。。わたし  わたし。。。。」迷いながら次の言葉を探すスカリー

「初めてなんだろ? わかるよ 。。。」

「こんな年でって。。。呆れた?」

「僕を待っていてくれたんだと 思ってる  うれしいよ。。。 」

 乱暴ではなく ゆっくり沈んで来る指先に確かな優しさが感じられた

 初めての経験に翻弄されながらも目覚めていく自分をどう表現していいのか分からないでいると

 モルダーが ジーンズのファスナーを下ろし始めた

 事実と向き合ったとき沸き上がったのは驚愕だった

「待って。。。。いや。。 いや。。無理よ。。。そんなの。。。」

 男の本能がむき出しになってスカリーに迫るが狭いシートからは逃れられそうにもなかった

「大丈夫。。。心配いらないよ」

 息を飲み仰け反るように腰を引くスカリーの両足をつかみ大きく開かせ再び肩に乗せると

 モルダーは指ではなく直に彼女を味わい始めた

「あっ ああああぁああ。。。」モルダーの舌の動きにこらえていた何かが唇の端からこぼれていく

 それでも愛撫をやめないモルダーの執拗な動きに 体中がとろけていきそうになるスカリー

「お願い もう。。。もう。。ああぁ。。もう。。。」

「もう 何?」

「ああ なんだか。。。分からないけど。。。もう。。。」スカリーは喘ぐだけで支離滅裂だった

「まだだ まだ君は僕を受け入れる準備ができてないよ」

 そう言うとモルダーは再びスカリーを愛し始めた

 気が遠くなるほどの時間の中ふと窓ガラスを見ると自分の足の間に顔を伏せるモルダーの背中がおぼろげに

 映し出されていた

 両足を開いた自分 。。。。顔から火が吹き出しそうだった

 それよりももっとショックだったのは 自分の意志とは関係なく聞こえ始めた水の音だった

 モルダーの舌の動きに同調するように聞こえる ねっとりとからみつくような音。。。

 確かに 自分の。。。。狭い車の中で耳を塞いでも聞こえる 気が狂いそうな音だった

「お願い やめて。。。。。」もう泣き出してしまったスカリー

「ごめん でも こうしないと君に負担がかかるから。。。。」そっとだきしめてモルダーが言った

「。。。。。」無言で抱きつくスカリー

 お互いの瞳を見つめ合いこれから始まる儀式の前に深く口づけをかわす二人

 向かい合い膝の上にスカリーをのせ静かにモルダーは進入を試みた

「はうっ。。。」思い切り仰け反るスカリーをぐっと引き寄せ 一気に貫いた

 しっかりスカリーを抱きしめたモルダーがすこしずつ躰を揺らし始めると動きのたびに

 小さな喘ぎがスカリーの 半開きになった唇からこぼれ 何度も崩れ落ちそうになるのを

 モルダーはその力強い腕で抱き留めていた


 確かに彼を感じる躰の中心の痛みが焼けつくように体中に広がりを始め

 痺れたような感覚は 思考を狂わせ 只狂ったようにモルダーにしがみつくしかなかった

 安心したようにすべてを投げ出してただ抱きつくスカリーが愛しくてたまらない

 目じりに溜まった涙を唇ですくい上げ そっと舌先でなぞってやると

 ふぅ〜っと大きなため息がこぼれ それはやがてせつない喘ぎに変わっていく

 スカリーの喘ぎがモルダーを刺激して さらに律動は激しさを増すばかりだった


 突き上げるような 痛みが快感に変わる頃 スカリーは全身の重みをモルダーに預けた

 その瞳に涙はなく 晴れやかな笑顔と 満足そうに上気した頬がすべてを物語っていた



 躰をつなげたまま 軽い口づけをかわすと スカリーがくすくす笑い始めた

「どうした?」

「べつに。。。。」

「なんだよ〜気になるじゃないか」

「どうもしないわよ」

 裸の胸をぴったりとモルダーの胸に合わせ うふふ。。。と微笑むスカリー

「言わないとこうするぞ!」 いきなりモルダーが突き上げてきた

「あうっ!」弾かれたように仰け反るスカリーをぐっと引き寄せ

 更に攻撃の手をゆるめないモルダーの腕の中で

 スカリーの首が折れそうになるくらいがくがくと揺れた

「言うから お願い。。。やめて。。やめ。。。ああぁ。」

「さあ聞こうじゃないか なに?」

 今度は ゆりかごのようにゆっくり揺らしながらモルダーが聞いた

 揺らされるまま 自分の一番深い所にいるモルダーを確かに感じながら

 うっとりと潤んだ目でスカリーが口元に微笑を乗せて言った


「うふふ。。。車って。。狭いと思ったけど そうでもないわね。。。とっても素敵な密室ね。。。」


         この言葉にモルダーが煽られたのは言うまでもありません



                                  おわり




菓子職人:スタラベリー・メロン

 



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