mystery 1 死者からの電話 |
ある男のもとに1本の電話がかかってきた。電話の主は、殺されたはずの友人。1年前に起きたその殺人事件は、容疑者逃亡中のまま捜査が打ち切られていた。未解決事件継続捜査部署・捜査一課2係に配属されたばかりの研修生・柴田は、真山警部補とともに再捜査を開始する。調べを進めるうち彼女は、歯の治療痕によってしか身元を特定できないほど被害者の顔がつぶれていたことに疑問を持った。
■柴田、早々に方向音痴を見破られる。
オープニングのタイトルバックが、とにかくイカして(死語?)いる。これだけでも、毎週観る価値があるなと思ったものだ。で、観ていたら、毎回少しずつ映像が差し替えられていた。なんか得した気分。肝心のトリックは穴だらけだが、なにも緻密な謎解きで視聴者を唸らせるのが目的ではないことは、ラストの真山のセリフでよーく解った。そして、これまでの刑事ドラマや探偵ドラマがいかに胡散臭いシロモノであったかも…。しかしながら、柴田と同様に“純愛”を信じたかったわたしの乙女心は、見事に粉砕されたのである。
|
mystery 2 氷の死刑台 |
橋本という男が13年前の殺人事件の再捜査を依頼してきた。心臓病で余命いくばくもない彼は、勤務先の倉庫会社社長が殺され、自分にも容疑がかけられていた事件の解決を切実に望んでいた。現場である冷凍倉庫を調査中、発作に見舞われた橋本は病院に運ばれる。柴田らはそこで、橋本の担当医・下平も件の倉庫に関わりがあったことを知る。
■真山、閉所に怯える。
後味の悪さはシリーズ随一。「人殺しは人殺しだ」。刑事たちに跳ね返るこのセリフの残酷なこと。あまりに衝撃的な終わり方のため、真山が真相を暴いたおかげで、犯人に殺人の動機がなくなってしまったことに突っ込みを入れる気力も失せる。ところでわたしは、柴田ほどではないにせよ服装には無頓着なたちで、「今までので足りてるし…」とTシャツすらめったに買おうと思わないのだが、この回登場の一着には購入意欲をいたく刺激された。真っ黒で超クール。すてき…(うっとり)。どこで売ってるんだろう、あの“犯人”のロゴ入り全身タイツ。
|
mystery 3 盗聴された殺人 |
1年前の強盗殺人事件の被害者の妻・美奈子が、犯人として夫の愛人・祐子の逮捕を求めてきた。彼女は、事件に関して祐子が恋人と交わした会話を聞いてしまったのだ。2係のメンバーは証拠を掴むべく祐子の部屋に盗聴器(違法)を仕掛けるが、それから聞こえてきたのは祐子の悲鳴だった。
■柴田、大人用オムツ初体験。
壁1枚作って運んで動かす。すごい技術者で力持ちじゃないか。ろくでもない亭主とはさっさと別れて、その能力を発揮できる仕事に就いていた方がよかったと思うよ、美奈子さん。ぶっとんだトリックのインパクトの前にかすんでしまったけれど、夫を刺殺されたトラウマから包丁が持てなくなっていたり、事件を解く鍵になった時計は、夫が愛人に贈ったものだったりと、犯人の悲しみを浮き彫りにする細やかな設定も、実はちゃんとなされていた。“細やか”といえば、ラストで真山がイターイ言葉とともに犯人に向けた表情。彼の抱えている“何か”の痛みが垣間見えて、印象深い。
|
mystery 4 泊まると必ず死ぬ部屋 |
旅館・葉隠月の、泊まった者は必ず死ぬといわれる伝説の部屋。柴田と真山は部屋担当の仲居に請われ、旅館の関係者がそこで一夜を過ごすというゲームに立ち会うこととなった。柴田を含む数名の希望者の中から、トランプによって件の部屋に泊まる権利を引き当てたのは、旅館の主人の娘である朋美。数時間後、密室から忽然と消えた彼女は、旅館裏の林で他殺体となって発見された。
■真山徹(32)、オカルトにビビる。
花瓶の水や香水の残り香から女心を推し量ることのできる柴田は、決して鈍感ではない。意外といえば意外。神経の図太さは荒縄並みなのに…。今後徐々に、彼女のそういった女性らしい部分も明かされてゆくんだろうなと思ったが、結局最後まで、“女としてのありがたみ”が柴田に付加されることはなかった。期待したわたしがバカだったかもしれない。犯人告発の七並べで、なぜ犯人は柴田より先に件のカードを出さなかったのか、或いは隠してしまわなかったのか、という疑問点は見ないふりをできても、わざわざ“東大式”の麻雀入門書を柴田に用意してあげたのは誰?ってのは、気になって夜も眠れない。
|
mystery 5 未来が見える男 |
行方不明の夫の捜索が進展しないことを2係に抗議に来た女が、テレビの公開捜査番組に出演していた。彼女は警察の対応の悪さを訴え、夫発見の望みを霊能力者・鷺沼に託す。生放送中、鷺沼の霊視に従ってテレビカメラが向かった先には、彼の指摘通り失踪していた男の撲殺死体が転がっていた。
■柴田、テレビ出演。
公共の電波に乗ったのを聴いたことがなかったため、そうと思い込んでいたけど、柴田が連発している単語って放送禁止用語ではなかったのね。ちょっとしたカルチャーショック。じゃあ、これからは気軽に使ってみよう♪などという気はこれっぽっちもないのに、パチンコの看板を見かけると、つい脳内で呟いてしまうようになった。テレビの力は恐ろしい…。だが、視聴者の突っ込みも恐ろしい。風のウワサによると、トリックが某人気探偵アニメにそっくりってことで、この回は非難轟々だったとか。愚鈍な大衆をナメたらあかんのよ〜。もっとも、数々の刑事・探偵ドラマのパロディでニヤリ、のこのドラマの性質を鑑みたなら、「あはは。今回はもろにコ○ンだねぇ」と、寛大な気持ちで受け入れた方が宜しいかと…。かく言うわたしは、鷺沼と初対面時の柴田に「自分は古畑○三郎か!」と突っ込んだが。
|
mystery 6 史上最悪の爆弾魔 |
町田北署の刑事・壺坂が、かつての部下である真山に捜査協力を求めてきた。ある女性が人から譲られて持ち帰った小包が爆発し、彼女の恋人が死亡した15年前の爆弾事件は、1週間後に控えた壷坂の定年退職と同時に、時効を迎えようとしていた。壷坂に恨みのある真山は協力を拒むが、事件に興味を持った柴田が捜査に乗り出す。
■柴田、茶柱に喜ぶ。
爆死した男に同情の余地なし。恋人でなきゃ内縁の妻が、そうでなければわたしが殺ってたね(←なんで?)。だからというわけでもなかろうが、犯人に対する真山の容赦ない言葉も聞かれず、ゲスト其の壱・泉谷しげるをめぐって珍しくも“いい話”で終わる。演出もオーソドックス。こういうのも案外悪くないな。柴田がまた、意外な一面を見せた。料理好きな人が、生肉を梱包を解かないまま冷蔵庫に入れた不自然さ。それに気づいたってことは、彼女には目玉焼きとゆで卵以外にも料理のレパートリーがあるということ。ちょっと怖い。ゲスト其の弐・宮崎淑子のどこにも、ピカピカに光っていた頃の面影は見当たらず、時の流れの残酷さを痛感した。
|
mystery 7 死を呼ぶ呪いの油絵 |
絵柄が変わると、それを見た者は死ぬ…。そんないわくつきの油絵の調査を依頼してきたのは、画廊のオーナー・菜穂子。彼女の父親も6年前に、変わった絵を見たため殺されたと言う。柴田と真山が画廊を訪れていた時、変化した絵を見てしまった菜穂子の叔父・平良が行方不明になった。柴田らの捜索によって数時間後に発見された平良は、すでに死亡していた。
■真山、結婚を決意する。
柴田受難の回。とうとうスリッパで殴られちゃってるよ、この人…。日頃叩かれすぎて、平手くらいでは蚊が止まった程度にしか感じなくなったのかもしれないけど、革手袋やスリッパを食らっても、その威力に見合うだけの痛がり方はしていない。恐るべし、柴田の痛覚。首を絞められ気絶した後だというのに、墓地で茶をしばいて和める神経にも脱帽だ。“茶”といえば、いかに妙な香りを放とうが所詮、原材料は植物である。どんな掟破りの配合をしたところで、海水と区別のつかないハーブティーなど作りようがあるまい。ってゆーか、海水を飲んでそれと判らない真山の味覚も、柴田に劣らず相当いかれていると思う。
|
mystery 8 さらば!愛しき殺人鬼 |
目の前で犯人を自殺させてしまいショックを受けた柴田は辞表を提出し、親友・麻衣子の部屋で過ごしていた。落ち込む柴田を麻衣子は、気晴らしにとインターネットのオフ会に誘う。酒を飲んで正体をなくした柴田が翌朝目覚めると、彼女の隣には撲殺された男の死体が寝ていた。
■柴田、ラブホテルにご宿泊。
またしても柴田受難。柴田の親友はもっと受難。お付き合いする男性は、こころして選ばねば…。麻衣子さんはさすがに柴田の友人だけあって、やはり味覚に問題があるようだ。彼女が柴田のため用意したみたいな食事で日々もてなされているのかと思うと、朝倉に対する同情を禁じえない。しかし彼女、カメオという高価なアクセサリーをふたつもご購入なさるなんて高給取りなんだな。わたしも世田谷区役所にお勤めしたいよ。その“カメオ”がキーワードにもなっているトリックには、柴田が解き明かした裏側に実はもうひとひねりあるように見えるのだが、気のせいにして考えるのをやめた。偏頭痛予防。
|
mystery 9 過去は未来に復讐する |
辞表を撤回した柴田は麻衣子の死の真相を明かすべく捜査をするうち、麻衣子が恋人である朝倉と柴田の関係を疑っていたこと、ノイローゼでカウンセリングを受けていたことを知る。柴田はひとつの仮定に基づき、朝倉を調べ始める。そして、朝倉がなぜか真山の部屋に監視カメラを仕掛けていたことに気づいた。一方真山は、妹を自殺に追い込んだ7年前の事件に関して、ある決意を固めていた。
■柴田、金魚の世話係に任命される。
現実と幻覚の絡み合う映像が、明らかにされたはずの真山の過去にさらなる謎を呼ぶ。ご飯粒が後ろ髪にくっつく柴田の食事の仕方も謎だけど。自室をあとにする間際、柴田に向けた真山の一連の言葉が、シリーズを通して一番の名台詞と思うわたしはペシミスト?非常に短いカットながら印象的なのが、真山が殺人を犯したとの電話が2係に入る場面。この時柴田は真山の席に座り、本人になり切っての所謂プロファイリング中だったらしく、真山がそうするようにお行儀悪く机に足を上げているのだが、ポーズのみならずその表情が真山にそっくりでびっくり(←よし、なかなか語呂がいいぞ)。
|
mystery10 二つの眼球 |
妹の事件の証言を求めて訪ねた男が死んだことにより真山は、殺人犯として追われる身となった。追跡する内部捜査処理班・SWEEPに早乙女管理官から下された命令は、真山の“処分”。野々村以下2係のメンバーは、真山のために動き始めた。彼らとは別に柴田も行動を起こすが、深夜の2係で彼女は何者かに刺された。
■真山、食べ物に釣られる。
およそ人間離れした柴田にも、赤い血が流れていることが判明。しかも一旦出口を見出せば、まさに出血大サービスである。そんな彼女に比べ、真山の血液は凝固因子の働きがケタ外れに活発らしい。銃創に手当ても受けないまま動き回ったりしたら出血多量により、よくて失神、下手すりゃあの世行きだと思うが、真山は傷口を押さえているだけで止血にほぼ成功。おおっ、危険を伴うお仕事向きの体質!と感心する間もなく、またしても流血。それでは、いくら安全非保障職仕様の体でも干からびてしまうんじゃ…。こんだけ散々な目に遭わせてくれた監督が、ネットカフェでのんきに紙ヒコーキなぞ折っていたなどという事実を知ったら真山は彼に、朝倉に対する以上の殺意を抱いたことだろう。
|
mystery11 −The Last & The Everlasting Mystery− 死の味のキス |
柴田は瀕死の重傷を負いながらも、真実を求めて事件にのめり込んでゆく。その情熱に打たれた野々村の協力を得て真山を捜す彼女は、真山が朝倉と対峙する場面に遭遇する。そこへ放たれた1発の銃弾が朝倉を貫いた。逃げ出したふたりをSWEEPが追う。柴田を危険から遠ざけ、全ての発端となった場所へひとり向かった真山を、早乙女とSWEEPが取り囲んだ。そして、再び真山のもとへと駆けつけた柴田の目の前で、真山に向けられていたSWEEPの銃口が一斉に火を噴いた。
■柴田、真山のくちびるゲット。
“朝倉と刺し違えて真山死亡”との大方の予想を裏切り、柴田が(ま、一応)死んでしまう。意外すぎて、この結末には呆然とした。それにしても、身内が殉職したというのに遠巻きに突っ立って見ている場合か? 警視庁の諸君。もしかして、近寄れないくらい柴田の頭は臭かったのか? しかし、その臭気が真山からあの泣かせる言葉を引き出したのだから、柴田が何日風呂に入っていなくても、彼女を責めるよりはむしろ、褒めてやるべきだろう。ところで、観終わった直後、わたしの最大の関心事は“朝倉は本当に生きているのか?”ではなく、映画予告編中の「最初っから上はダメだよ!」という真山のセリフがどのような状況に際してのものなのか、ということだった。そして「いつ? いつ公開なの? 映画って。このセリフの意味も分かるの?」と浮き足立ってしまった。画面下に出た(フィクション)の文字が示すところには、まったく気づかずに…。
|